ケーキの切れない非行少年たちを読んで
まず目にはいってくるのはケーキを3等分できてない図。
帯にも記載されてあるとおり、こちらは少年院の子どもたちに「ケーキを三等しなさい」という問題をだした時の解答です。
他にも「100から7を引けない」「絵がかきうつせなない」など能力の低い子が少年院にたくさんいたそうです。
彼らには「認知機能が弱い」「感情をうまくコントロールできない」「身体をうまく動かせない」「融通がきかない」「自己評価が正しくできない」「他人とのコミュニケーションがうまくできない」「手先が不器用」といったような問題がある子供が大変多かったそうです。
問題があったにもかわらず、障害かそうじゃないかというギリギリのラインにいるために、まわりが気づいてあげられなかったのです。
このようなこどもたちは授業が理解できなかったり、人の心がわからなかったりすることが原因で、孤立したり、いじめられたり。日々の生活で困ることが多かったのに、大人たちは救いの手を差し伸べることができなかったのです。
そもそも反省以前の問題
このような軽度の発達障害の人は人口のうち約14%といるといわれています。1クラス35人の学級にだいたい5人いる計算になります。
能力が低いがゆえに抱えてきた子どもたちの「生きづらさ」を大人達が気づけなかったこと。 その事が、子ども達を傷つけ、犯罪に走らせる要因の1つになってしまうのです。
凶悪犯罪をおかした少年院の子どもに「あんなひどいことをして、反省しているのか」ときいても、なぜそんなことをきかれるのかわからない。という反応もみられるそうです。
そう。彼らは他人とのコミュニケーションがうまくとれず、他人の気持ちを理解するのも難しいため、そもそも人を傷つけることが悪いことだと認識できない場合もあるのです。
そんな少年院の子どもたちに、少しでもよくなってもらって社会に返してあげたいといった思いから始まったトレーニング、これが次に説明します「コグトレ」なんです。
コグトレとは?
“コグトレ”とは、「コグニティブ(認知)○○トレーニング」の略称で、○○には「ソーシャル(社会面)」「機能強化(学習面)」「作業(身体面)」が入ります。学校や社会で困らないために考えた、3方面(社会面、学習面、身体面)から子どもを支援するためのプログラムです。
先ほども説明しましたとおり、クラスのおよそ14%は境界知能(障害までいかないが一定の支援が必要)といわれています。
障害と診断されると特別支援の対象になりますが、グレーゾーンの子たちはほとんど気づかれません。
学校にいる間は先生に発達について相談し、見てもらうことができますが、社会に出るとそうはいきませんよね。まわりからあの人は仕事できない、空気読めないといわれてしまうかもしれません。
コグトレはまさにこういったギリギリ気づかれない子どもたちを対象とした支援プログラムです。
もともと非行少年たちに少しでもよくなってもらって社会に返してあげたいといった思いから始まったトレーニングですが、近年は大変効果があると教育界で注目されはじめ、教育現場でも使用されるようになってきたそうです。
うちの娘は2年生のとき、かけ算九九暗唱をクラスで一番先にクリアしました。ところが3年生になってかけ算の100マス計算をやってみせたところクリアタイムに届かず。
実際に目の前でやらせみると、数字と数字の交わりの認識が遅く、手が動くまでかなり時間がかかっていました。
同じ九九でもアウトプットが変わるだけでこんなに違ってしまうんだなと衝撃を受けたと同時に、これはもったいない!と強く思いました。
ひとそれぞれ、得意、不得意はあります。私は不得意なことがあったとき、得意なことを伸ばしてそれをカバーしてきましたが、最近は思います。
得意なことを伸ばして、不得意なことを補ってあげられるのが最強だと。
コメント